| その他知っておくと便利なこと |
■その他知っておくと便利なこと本コーナーでは、理屈とか、そんな知ってるとより的確な対応ができるけど、 知らなければ知らないで何とかなる話について書いてみたいと思います。 ※あくまで大麻 仁の捉え方で書いてますのでご了承ください。 水の浄化について 水槽の魚にとって、彼らの世界はその水槽の中の水だけです。 魚を飼っていれば、魚自身の排泄物や食べ残した餌の腐敗などで水は必然的に 汚れていきます。飼育者が何らかの方法で水質を浄化してやらない限り、 どんなに健康で丈夫な魚もやがて死に至ります。 水草や底砂で浄化…というのは可能（＆結構有効）ですが、自然界に比べて あまりにも魚の密度が高い水槽下ではやはり限界があります。 頻繁な水換えで水質の維持をはかることもできますが、それも大変。 ですが我々には、水質を浄化し、水換えの頻度を下げるための器具があります。 この為の器具が「フィルタ」です。単にフンやゴミを濾すとか、ぽこぽこ空気を 吹き込むだけ…と考えられる方もいらっしゃるかと思いますが、実は結構大切と いうか、その仕組みを知ることは「魚を良く飼う」上で非常に大切です。 さて、その浄化の方法ですが １．水中の有毒物質を除去する（物理濾過） ２．水中の有毒物質を分解する（生物濾過） ３．水中の有毒物質を吸着する（化学濾過） と大きく別れます。現在のフィルタは１と２を兼用するものが多いようです。 １．水中の有毒物質を除去する 物理濾過というのはゴミをこし捕っちゃう事です。 茶こし とか ざる とか ふるい とか、そんな感じですね。 「水換え」と「物理濾過 ＋ 濾材洗浄」の２種類がありますが、どなたも 言われるように「水換えにまさるもの無し」であります。 物理濾過は水中のゴミを濾すだけで、見た目の水の濁りを取ったり、水中に舞う 糞・糞・糞…と言う状況を打開するのには役立ちますが、濾したゴミを除かない 限り、ゴミを通り抜ける水に有害物質は少しずつ溶け出してゆきます。 ２．水中の有毒物質を分解する 水中のバクテリアによって有毒物質を分解します。現在ではこの方法がとても 重視されています。バクテリアが住み着くのに適した濾材を詰めたフィルターに 水を常時流すことで有害物質を毒性の少ない物に変化させます。 バクテリアが住み着くのに適した底砂を使用する方法も効果がありますが、水草を 大量に植えるのもやはり大変有効です。 なお、これらのバクテリアは水中には微量にしか存在しません。とりつく土台が 必要なのです。また、その活動には酸素が必要です。つまり十分に水流が通る 底砂や、バクテリアの付着面積が大きいスポンジ質の濾材はバクテリアの繁殖元に なるわけです。さらに云うならば、エアレーションによって酸素を供給することで 濾過効果を高めることができると云うことです。 ３．水中の有毒物質を吸着する 活性炭などで有害物質を吸着します。吸収しきると逆に放出を始めます。以前は 「水質を急に変える事があります」と記載していましたが、どう考えても効果が 無くなって平衡に達する…というのが正しいです。いずれにしても吸着しきれば それまでですので、急場の効果は高いですが、頼らない方がいいでしょう。 また、吸着するのが「有害」物質だけとは限らないのが困りもの。 ちなみに「とりあえず飼い」では、バクテリアが住み着きやすい大磯砂を厚めに 敷き、安く強靭な水草を大量に植えて水質浄化を任せます。 そしてエアレーションすることで魚やバクテリアへの酸素供給を多めに行い、 週１回１／４程度の水換えで糞の類を除去…という方法を、適度に世話してる 気になれるし、コストパフォーマンス高いし…ということでお勧めしております。 濾過の仕組み 実は「フィルターはチープな投げ込みで、底砂はなし、水換えは毎日」という 飼い方は、手間暇かかりますが、これはこれでＯＫなのです。 ちょっと化学な話になりますが、水槽内では魚の老廃物は以下のように変質して 行きます。 糞→アンモニア（毒性中）→亜硝酸（毒性高）→硝酸（毒性低）→水換えで除去／ 亜硝酸バクテリア 硝酸バクテリア 水草が吸収 要するに、もっとも有害な亜硝酸を極力水中に残さなければ良いと言うことで、 アンモニアレベルでガンガン排出しちゃえばいいのであります。 なお、バクテリアの活動には炭素が必要であるという研究結果も報告されています ので、活性炭や備長炭の投入は生物濾過にとっても有効といえます。 また、このバクテリアは好気性（酸素を好む）なので、エアレーションと水流による 酸素の供給はバクテリアの活動を高めるのに大きく貢献します。 最終生成物である硝酸イオンは、植物の栄養である「窒素・リン酸・カリ」のうち 窒素の良好な供給源になりますので、水草が喜んで消費します。 （この意味でも水草の投入は魚にとって極めて有効といえます） 現在の一般的なアクアリウムのセオリーでは、１カ月ほどかけて硝酸バクテリアを 発生させる所まで我慢する飼い方が主流ですが、まめな換水＋バクテリアが沸く 場所を作らないことによって、もっとも毒性の高い亜硝酸が発生する前に水換えで 除去する飼い方もアリではあります（めんどくさいけど）。 エアレーションのススメ 水中にエアポンプで空気を吹き込む「エアレーション」は魚への酸素補給という 方向から魚の飼育にとって極めて有効です。 水草を多く入れている水槽では昼間は水草が酸素を生産するので酸素補給は不要 ですが、夜間は魚と水草が酸素の奪い合いをするため、やはり必要になります。 また、濾過バクテリアが有害物質の分解に酸素を必要とするため、水質浄化の ためにも良い手段です。 チープな濾過システムでは泡が昇る力を利用して水流を起こし水を循環させる 方法が古くから使われていますし、上部濾過方式では水流が空気を巻き込むため エアレーションと同等の効果がありますが、空気添加が多くて困ることはないと 思いますので、エアカーテンとかも含め、どんどんエアレーションした方がいい かと思います。 唯一エアレーションが邪魔になるのは本格的な水草水槽だけだと言えますが、 これは爆気（字合ってるかな？）によってせっかく水中に溶かしたＣＯ2が逃げる のを嫌うためで、光合成しない夜間は水草も呼吸で酸素を消費しますから、やはり 明かりを消したらエアレーションした方がいいです。 ただ、過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉もありまして、エアレーションが 強すぎると水が飛び散って辺りを汚したり、ストレスを溜めたり…ということも あります。狭い水槽でエアレーションが強すぎると、それに伴う水流で魚が 休むことが出来なくなり、過労死してしまうこともあります。 何事も適量が肝心というお話であります。 水質に関する用語 魚は一般的に、種類毎に適した水質があります。数字で測りやすいのは 以下のものです。ここはとりあえず飼いなので、「水温以外の特殊な条件を 必要とする魚は無闇に飼うな」と書くにとどめておきます。 ・水温 一般的に２６度近辺が適していると言われますが、それぞれの魚の原産地を考え 現地の水温に近い物にします。ベタなど暑い東南アジアの魚は高めの水温を好み ますし、渓流の魚や日本の淡水魚、ザリガニ達は低めの水温を好みます。 絶対的な温度ではなく「温度差」に弱い魚もいます。 「たかが水温」と思うかも知れませんが、水温は人間の体温と同じです。 １日に５度体温上下して平静で居られる方はマラソン選手くらいかと思いますが、 自然下では自分に適した水温を求めて移動できる魚も水槽ではそうもいきません。 比較的検出が簡単で操作もしやすい要素ですので、ぜひ気にしてあげてください。 ・ｐＨ 通常の魚は中性から弱酸性を好みます。 ｐＨは砂でかなり変化しますが、とりあえず飼う分には、試薬とかで常時測る 必要はあまりないと個人的には思っています。 ただ、他に比べて上記２点は測りやすく、魚の体調に直結するので、たまに測って おくのもいいかも知れません。 水質調整剤等でいじることができますが、できれば砂や濾材で何とかし、薬は 使わない方が良いでしょう。 ・硬度 水中にいっぱいミネラルが溶けているのが硬水。川の上流に住むような魚は 硬い水を、落ち葉の積もる沼や湿地に住むような魚は柔い水を好む傾向が あります。硬度に影響するのは主にカルシウムイオン。 硬い水は石鹸が泡立ちにくく、肌が荒れやすいです。 これも砂や濾材で変化します。硬い水では一般に水草は育ちにくいです。 井戸水は一般に硬度高め。 これを気にするとずいぶん調子が良くなる魚も結構います。 水草わしゃわしゃ水槽では弱酸性の軟水を好む魚が適しています。 逆に硬めの水を好む魚は草を入れない石組みレイアウト等がいい感じです。 ・導電率 上記の硬度と幾分関係しますが、イオンが水に溶けている状態を示します。 新しい水を好む…と言われる魚はこの導電率が低い方が調子良いです。 ※汽水・海水の方には関係ない話かと思いますが どっちにしてもこんなのを気にする魚は飼ったことないので解りません。 新しい／古い水 ある種の魚は、頻繁な水換えでかえって調子を落とすことがあります。 生息地が小さな沼地だったりするような魚は、苔や有機物が多く、バクテリアや 小さな生き物が繁殖した淀んだ（なんというか、とろ〜んとした水って云って 解るでしょうか）水の方が調子いい場合が往々にしてあります。 無闇に水換えではなくて、飼う魚の生態を調べて、その魚に適した水を用意して あげましょう。 ある種のイオン・薬剤 水道水には塩素が添加されており、そのまま入れると魚に毒なのは比較的有名。 この塩素は水を１日くらい汲み置きするか、ハイポと呼ばれる薬剤を添加する ことで中和可能です。この他にも有害物質は身近に多くあります。 例えば銅イオンはかなり毒性が強いイオンで、ガス瞬間湯沸かし器を通した水に 含まれていることがあります。こんな水を入れるとエビなんか全滅。 鉛の銃弾に換えて銅の弾を原野にばらまこうというバカ団体がありますが、 見かけたらあざけり笑ってやってください。 マンション住まいで貯水タンクの清掃消毒をされたのを知らずに水換えしたら 魚が全滅したという話も聞きます。 蚊取り線香やベープマット、バルサンの類はもちろん有害ですし、ペンキの塗り 替えした後の、揮発する溶剤を含んだ風が水槽に当たっていて全滅…という 話も読んだことがあります。益になる薬剤はあまりありませんので注意しましょう。 飲んで不味い水道水は汲み置きするなり中和剤を入れるなりした方がいいですが それでもどうしようもない場合があったりします。 私は今まで水道水をそのまま使っていますが、そのせいで落ちた魚はいません。 用心のために１日汲み置きするのは比較的手軽で有効な策です。 ただしオタマジャクシは水道水そのまま入れたら☆になっちゃいましたが(^_^;)。 飼いきれなくなった魚について 要するに大きくなったとかむちゃくちゃ増えたとか性質が凶暴で手が付け られなくなったとかから始まり、仕事が忙しくて世話できなくなった、同居人に 「魚と私とどっちを取るの！？」と迫られたなど、世の中色々あるわけです。 さて、せっかく縁ができた魚達、どうしましょうか…？ ショップに持っていく え〜と、基本的に引き取ってくれます。でも、何かと交換してくれとか 買ってくれとか、そういう交渉は基本的に頭から外しましょう。 セミプロブリーダー…なんてものはそうそうなれるもんじゃないです。 ショップは引き取らなくても損をしませんが、あなたは困っているわけです。 「なんでタダでひきとった魚に「里親 ￥１００」なんてつけるの？」と思う方。 餌代とか人件費とか場所代とか考えると安いんですよ。 問屋から買う魚と違って素性ははっきりしないし、何年生きたとかとかのデータも ないし、引き取る側にもリスクあるんですから。 なんせ「飼いきれない」魚な訳で、それだけほしがる人も少ないんです。 ※実用系の生き物は別です。オトシンとかコケ取りのエビとか 珍魚とかいって、怪しいハイブリッドを持ち込んで金をとろうなんて馬鹿が いるんです。バブルの頃ならまだしも、今は世の中そう甘くないですって。 「自分は趣味、相手は生活」であることを考えて、ある程度通ってなじみになった ショップを応援する、またはショップに無理言って世話をかける気で持ち込みましょう。 もちろん、その店で餌にされても文句は言えません。 水族館に持ち込む サンピアザ水族館に持ち込んだこともあります。 其処の方によると、 水族館はいつでもどんな魚でも歓迎します。お礼としてはタダで１日見ていって もらう程度のことしかできませんし、いただいた魚が水族館の展示水槽に並ぶ とも限りません。でもお困りならいつでも相談してください。 とのことです。 喰わせる あなたが刺身やサラダを食べるならば、魚が他の魚を喰うことに問題はありますまい。 餌金は良くて、飼いきれなくなった他の魚はかわいそうと言うことも無いでしょう。 個人的にはその魚の血となり肉となるというか、悪魔合体と言うか…。 飼いきれないんだから、見届けるのも責任の取り方の一つといえるでしょう。 繁殖をまじめにやっている方は「選別」「処分」という作業をやられます。 奇形の子に罪はありませんが、本来自然界では淘汰される奇形の遺伝子を世に残すのは 罪かも知れません。 野に放つ そいつが生まれ育った土地に放してください。それができないならばやっては いけません。 ブラックバス、ブルーギル、アユ…そんなもののために生態系を破壊してきた馬鹿達が いっぱいいます。 「そこにいなかったものは、いてはいけないもの」なのです。 グリーンピースのヒットマンに撃ち殺されないように、生き物を飼う人として最低限の モラルを守ってください。 私が採集魚の飼育を勧めるのは、嫌ならきれいさっぱりやめることができるように… という意味もあります。 里子に出す 自分のところで増えた魚を人にプレゼントする。少し飼育に馴れた人の目標のひとつでも あります。で、魚仲間のところで増えたものを代わりにいただければなお良し。 できればこれで平和に解決したいものです。 殖やさない 無闇に増える魚は飼わない。雄か雌だけ飼う。雄と雌は普段別の水槽に入れておき、 子供が欲しくなったら一緒にする。ま、大人の飼い方ですな。 魚の選び方について 魚を買うときにもっとも大切なことは「選ぶ」事です。 より元気良く長生きする魚、変な病気を持ち込まない魚を入手することが楽しいアクア ライフの基本であります。 ここでは魚の選び方について解説します。 店を選ぶ 魚が状態良くキープされている店、または安い店をまず選びます。 財布に余裕がある方は前者、生き物は死ぬという点に対して割り切れている方は後者を 選びましょう。どちらにしても「この水槽の中のあの魚が欲しい」といって選んで くれるかまたは網を貸してくれる店を選ぶこと。 店を選んだらその店の入荷サイクルを知ることです。入荷直後の魚はコンディションが 悪いので極力避けて、入荷２週間以上たって落ち着いた魚を選ぶようにします。 そのためにもなじみの店を一つ設定して、できれば週１くらいは覗いた方がいいのでは ないかと思います。 単純に「この魚、来てからどれくらい経ってます？」と聞くのでもおっけー。 ちなみにホームセンターの魚達は、回転が良くないので長期間そこの水質で飼われた、 落ち着いた魚であると言えます。値段も安く、お勧めといえるでしょう。 ＃ただし、店員の知識やスキルに期待してはいけません。 欲しい魚の生態を知る 状態のいい魚というのは、すなわち本来の生態に近い行動をしている魚です。 本来砂に潜って昼間は出てこないような魚が、びゅんびゅん元気良く泳いでいる…と いうのは、いくら元気でも、すでにやばいといえます。 どうせ飼ったら長いつきあいなんだから、その魚の生態を知っておくのは必須です。 この延長で、たとえディスプレイ優先とはいえ、その魚の本来の生態とはあまりに そぐわないキープの仕方をしているショップもやばいといえるでしょう。 病魚・群から離れた魚は避ける 群から離れた魚は本来の生態と離れた状態と言えます。気を付けましょう。 病魚はもちろん、病魚と一緒の水槽にいる魚はとりあえずやめときましょう。熱血医師 よろしく「オレが治す！！」と引き取るのは止めやしませんが。 連れ帰って次の日には同居の魚が全滅してるかも知れませんよ。 できれば幼魚を選ぶ 魚は（特に小魚は）ある程度経つと成長が止まり、この後は大体同じ様な姿形を保ちます。 ということは、成魚を買うと、とんでもない老魚をつかむ可能性があると言うことです。 飼うなら若い魚の方が繁殖力も旺盛で、動きも活発ですし長生きします。 それを見越してショップでは幼魚を入れますが、ここには２つの罠があります。 幼魚は小さく弱いこと。それから幼魚と成魚がまるっきり違う生き物だったりすること。 例えばコケを喰うドジョウとして知られるアルジイーターは成魚１５cm近いごつい魚に なりますし、闘争行動がかわいらしいキッシンググラミィは２０cmオーバーです。
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