| 餌について |
■餌について本コーナーでは餌について簡単に考えてみましょう。 大麻 仁の考え方は以下の通りです。 通常使用する餌について 長年空っぽにしていました。あんまり特記すること無いです(^_^;)。 ■飼っている魚の生態に合った餌を 一般に流通している熱帯魚は、動物食の強い雑食性のものがほとんどです。 が、大きく分けると以下のような感じでしょうか。 ・動物食の強い雑食 市販の人工餌を問題なく食べます。 主に水槽の上層に居る魚には「浮上性」という、浮きっぱなしの餌を、中下層の カラシン達には沈下性の餌を、底ものには一直線に沈んでいって他の魚に食われない タブレットタイプのものを与えます。 餌の大きさは意外と重要です。躰に比べてあまりに細かい餌は、エラから抜けていくので 旨く食べられません。大きすぎると口に入りません。 ・動物食 フグやバジスなどにこのようなタイプが居ます。ほとんど人工飼料に餌付かず、生き餌、 せいぜい冷凍赤虫とかでないと見向きもしないタイプです。けっこう大変です。 小型魚では冷凍○○、または捕獲したミジンコ、湧かしたブラインなどを与え、ある程度 大きなものでは小魚や虫を与えることになります。 刺身の切れ端も美味しい餌です。海水魚の切り身も、身の含有塩分は淡水とそんなに大きく 違わないです。念のため。 ・植物食の強い雑食 上記人工飼料に問題なくなつくものが多いですが、水草水槽では水草の新芽を好んで 喰います。水草メインの方は飼わない方が良いです。 ・植物食 コケ喰いなどの魚にこの傾向が見られます。植物食の魚は縄張り意識が意外に強く、大食 のため、結構飼育に気を遣います。植物食用のタブレットが有りますが、さらにゆがいた ほうれん草や、キュウリ等を入れてやると結構食べます。 人工飼料に餌付いてくれれば楽です。あとはちゃんと餌があたっているかどうかですね。 基本的にはその魚の泳ぐ層を考慮した人工餌をメインに、冷凍赤虫などを補助飼料として 与えるのが良いのではないかと思います。 ■給餌間隔 給餌間隔は朝マズメと夕マズメの１日２回がベストだと思います。 が、そんな手間は掛けていられない方が大半だと思いますので、昼間メインに活動する 魚を飼っている方は朝、夜半に活動する魚を飼っている方は消灯前、が良いでしょう。 餌を与えるコツは「少な目」と「食えていない魚中心」の２点。 野放図に与えると、ジャイアンみたいに押しの強い魚だけが肥え太る結果になります。 成魚ばかりの水槽で有れば、極端にやつれた魚が居なければ２日に１回くらいでも良いと 自分は思います。 ただし、その場合には水草はそれなりに茂っていた方が良いです。 ■お勧めの餌 もうぶっちゃけて書いちゃいますが、とりあえずレベルでは「フレークフード」 「沈下性顆粒フード」「冷凍赤虫」の３種類で問題ないです。あと底ものが多い人は コリドラスタブレット。 いずれも上層の魚が多いときはそのまま、中下層の魚が多いときは一回小鉢などにあけて 水になじませてからスポイトなどで与えます。 もう一回書きますが、飼っている魚が餌を決めます。泳ぐ層と食性。そこだけ。 肥料について 水草の育ちが悪いと老廃物の吸収が滞り、また水草が枯れる、溶けることで 水質が変化しますので、有る程度熱帯魚の飼育に慣れたら水草の調子にも 目を配ると良いです。 一応、水草の餌である肥料についてもざっと簡単に。 植物には「チッソ」「リン酸」「カリ」の３大栄養素と、何種類かの 微量栄養素、光、二酸化炭素、酸素、水などが必要です。 これらは代替が効かず、一つが欠乏すれば、他のものがどんなに有っても、その 欠乏した成分の分しか成長せず、また欠乏した栄養素特有の成長障害を起こします。 また水質に依って調子を崩すのも魚と同じです。 とりあえず栄養のバランス、そしてその種類に合う水質が重要ですよ…と、 まずは当たり前の話から。 ■欠乏する栄養素 収用している生体の量にも依りますが、生体は老廃物として窒素を非常に多く、また リンをそれなりに排出します。微量元素は生体も必要としますから奪い合いになります。 よって、一般に（特に生体多めの混泳水槽の）水槽中では窒素が多く、カリウムや 微量元素が欠乏する傾向にあります。 水草に肥料を施す場合は、この辺を考慮して、園芸用の肥料でも窒素成分が少ないものを 施す必要があります。オススメとしては「ハイポネックス開花用」あたりでしょうか。 欠乏している時は劇的に効果が出ますので、少な目少な目が基本。 生体の為に入れる成分で植物にとって有害なもの、逆に植物の為に入れる成分で生体に とって有害なものがあります。とりあえず飼いでは基本的に「入れないで済むものは 無闇に入れない」というスタンスをとりますが、それでも欠乏によって調子を崩す ような成分まで「何でも薬はダメ」とは言いません。 入れる時の注意としては、「安いから」という理由でしょうたいふめいなモノを入れると、 余計なものまで入っている場合が多々ありますので、不安な場合は成分表示がしっかり していて混ざりモノが無いもの、定評のあるものを使いましょう。 ■光 なんか水草の調子が悪いなぁと思ったら、とりあえず光量アップも効果大です。 細かい波長の話とか、色々ありますがあまり気にせず、まずは普通のデスクライトで 構いませんので光量を上げてみましょう。 太陽光は良くないです。栄養分の偏る水槽ではコケの爆発的増殖を招く危険があります。 光は強めを８時間とか短めに…がセオリーとされています。 ■ＣＯ2 光を当てている時にCO2を添加することによって、水槽では育てにくい水草を育成可能に したり、ひねこびてしか育てられなかった草を見違えるように美しく育てることが できます。うちでは特に解説しませんが、そういう技術があるのだ、という事だけ 紹介しておきます。 うちの場合は魚同様「今の環境で育てられる、安くて丈夫な種類をどうぞ」と いうことになります。 ブラインシュリンプについて 稚魚育成の決めては初期飼料です。もっとも優れた初期飼料といえばずばり 孵化したてのブラインシュリンプ。本コーナーでは、ブラインシュリンプ （以下「ブライン」）とその孵化について書いてみたいと思います。 私自身は「ブライン沸かすようになったらもうマニアだよな」と思って一歩 引いていたのですが、やはり効果絶大でして、何せ成長速度が違います。 多少マニアになってでもいざというときには使うべき餌だと考えている次第。 ■ブラインとは ブラインは学名 Artemia Salina という、全長２.５mmくらいの塩水棲の甲殻類で、 ホウネンエビやシーモンキーに近縁の生物です。原産地は世界各国ですが、 アメリカのソルトレイク産のものが高品質として知られています。熱帯魚屋では 加工品の他、冷凍の成体、冷凍の幼生、そして乾燥卵が売られています。 ＃最近は中国産やロシア産の物も出回っているそうです。 冷凍餌でもそれなりの栄養価はありますが、結構高いです。やはり動いている事が 稚魚の興味を引く決め手だと思いますので、ぜひブライン孵化に挑戦してみて いただきたいと思います。 現地では塩分濃度は１０〜２５％とかなり塩辛いところで暮らしています。ですが、 これはブライン自体にとってもっとも良好な環境ではなくて、この塩分濃度では ブラインを食う他の生き物が生活できないこと、ブラインがこの塩分濃度で生育する 藻を食うことができることから、この濃度の方が都合がいいと言うだけです。 ■ブラインエッグ これは耐久卵と呼ばれる固い殻をもつ卵で、乾燥や温度変化にもかなりのところまで 耐える強靭なものです。この卵は出荷時にある程度処理されているのですが、一度 極端な乾燥や低温にさらさないと孵化しない性質を持っています。 卵は湿気に弱く、湿気のある状態にさらすとどんどん孵化率が下がって行きます。 購入し開封した後は、シリカゲルなどの乾燥剤を入れた密閉容器で、冷蔵庫に入れて 保存することをお勧めします。 ■孵化に必要な用具 孵化に必要な用具は ・ペットボトルなどの、内容の飛び散りにくい容器 ・エアレーション用のポンプ、チューブ、エアストーン くらいです。あとはフィルムケースのような小さな容器があると便利です。 ペットボトルは常に水量が一定にできるので一定濃度の塩水を作るのに便利です。 ２％強くらいの塩水を作るために必要な塩の量を量り、フィルムケースに移して 大体の量を記録します。これで２回目からはフィルムケースに目印まで塩を入れて ボトルにあけ、目印まで水を入れるだけで簡単に必要濃度の塩水が得られます。 ５００ml瓶に１０g〜１５gの塩を入れます。普通の食卓塩でおっけーです。 ■孵化条件 孵化の為には塩水が必要です。濃度は２％〜３％。親が生育できるような高濃度の 塩水では、躰の柔らかいベビーはすぐしおれてしまいます。 水温は２７度前後。２５度以下ではほぼ孵化しません。２７度〜２９度が良好です。 孵化に必要な時間は約２４時間。４８時間型もありますが、購入時に容器をよくみて 孵化時間の速いタイプを選びましょう。 ■孵化手順 ペットボトルに上記濃度の塩水を用意したら、卵を必要量入れます。５００mlボトルで 耳かき５杯くらいまでは問題なく孵化可能です。目安としては１リットル１gだそうです。 卵が多すぎると孵化直後に酸欠で全滅します。 水は水道水で構いません。褐色の卵は、水になじむと沈みます。 そして水槽の片隅にでもボトルを吊るして水温を確保し、エアレーションします。 エアは卵がボトルの底に溜まらない程度の、若干強めの量にします。 これだけでおっけーです。 「若干強め」の基準は底に卵が溜まらない程度。強すぎて飛沫が飛ぶようだと、孵化後に ブラインベビーが死んでしまいます。吹き溜まりというか淀む場所ができると卵が 溜まってしまうので注意。 たまにボトルを覗いて、壁面に卵がへばりついているようならスポイトで水をかけて 戻してあげましょう。 ２４時間型では水温２８度で約１８時間後から孵化します。 そのころになったら、エアを少し弱めます。あまり強すぎるとブラインがすり 潰されてしまいます。エアを止めると上の方に卵の殻がうき、下には蛍光オレンジの 生き物が何やらぴこぴこ動いているはずです。これをスポイトで吸い取って与えます。 幼生は集光性がありますので、底を照らすと寄ってきます。 塩水の洗浄は、水槽容量に比べたら微々たる物なので不要。そのままちゅーっと水槽に 注入します。よほど気になる方は一回別の容器に注ぎ、１０倍程度の水槽の水を注ぎ、 しばらく放置して底の部分を吸って与えましょう。 上に浮いている殻や、底の方でまだ 孵化していない卵は硬く、稚魚の消化不良の 原因になりますので食べさせてはいけません。 ■孵化後 孵化後もそのままエアレーションを続けることで、幼生を生かしておくことができ ますが寿命は２日程度です。また、時間が経つほど躰は硬くなり栄養価は下がって いきます。 餌は汽水生の藻類…と我々素人では用意できません。 孵化後のブラインは酸欠に非常に弱いそうなので、エアレーションはずっと続けます。 淡水中に入れたブライン幼生は底に沈み、約１日は ぴこぴこ しています。 ブラインを食べた稚魚はお腹がオレンジ色になるのですぐ解ります。 なお、一度孵化に使用した塩水は２回目には使用できません。その都度作りなおす ようにしましょう。 あと、エアストーンは塩水その他でモノによってはかなり詰まりやすいです。 出が悪いようであれば、あえて付けないと言う方法もあるかもしれません。 ■ごく少量の孵化 薄い小皿に上記濃度の塩水を作り、卵をひと振り。暖かい日向にでもおいて、気が 向いたら水をちょっと足しつつ１昼夜…でごく少量を孵化させることができます。 収率悪いですけどね。生まれたての稚魚が２，３匹…という状況では、こういう手も あります。 ■代用の餌 栄養だけで云うと「アルテミア」（千寿製薬）という餌がかなり良いです。 ブラインの卵から特殊製法で殻だけ除いたもの。20g１０００円とお高価いですが、 手軽なのが何より。ブライン湧かしてる余裕がないときや、稚魚が少ないとき、 稚魚が居るのに旅に出なければならないとき…などに威力を発揮します。 ■稚魚育成に関して 稚魚育成の難しさは、成長期で餌がいっぱい欲しいのに、入れすぎ→腐敗による水質 悪化に稚魚が非常に弱いと言うことです。これの解消方法は、食べ残しのない少な目の 餌をなるべく細かい間隔で与えると言うことです。ブラインベビーは嗜好性でいえば 「食わない魚なし」と言って良いくらい優れた餌です。 幼魚期の弱い時期をさくっと乗り越える為にも、生ブラインの利用をお勧めします。
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